人間と人間以外のモノたちとの「食べる/食べられる」の関係性を、芸術家・岡本太郎は「いのちの交歓」と呼びました。
「動物と闘い、その肉を食み、人間自体が動物で、食うか食われるか、互いにイノチとイノチの間をきりぬけ、常に生命の緊張を持続させながら生きて行く。このいのちの交歓の中に、動物と人間という区別、仕切りはなかった。あの残酷なロマンティスム。動物だけではない。自然のすべて、雨も風も、海も樹木も、あらゆるも のと全体なのである。」
( 岡本太郎『神秘日本』中央公論社、1964年)
本展では、日本神話を基底に、岡本太郎と若手芸術家たちの作品に、地球が造りだした自然物と旧石器時代以降の様々な人工物をぶつけ合わせることで、ひき裂かれた森羅万象の生と死の結い直しを図り、人間中心主義を反転させる古くて新しい生命観の提示を試みます。
●企画展「いのちの交歓-残酷なロマンティスム-」 チラシ PDF [1.34MB]
●展覧会イントロダクションムービー(4分54秒)
開催概要
会期 | 平成29(2017)年12月16日(土)~平成30(2018)年2月25日(日) |
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会場 | 國學院大學博物館 企画展示室+ホール |
開館時間 | 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで) |
会期中休館日 | 12月26日(火)~1月5日(金) 2月2日(金) |
入館料 | 無料 |
アクセス | 國學院大學渋谷キャンパス 学術メディアセンター 地下1階 國學院大學博物館 アクセスマップをご覧ください。 |
主催 | 國學院大學博物館 |
協力 | 岡本太郎記念館 |
展覧会図録 |
國學院大學博物館 企画展 いのちの交歓 残酷なロマンティスム 税込み300円にて販売(全48頁・オールカラー) 図録の購入についてはこちら |
関連イベント | 企画展「いのちの交歓-残酷なロマンティスム-」関連イベント ■DIMENSION 0 いのちの行方を考える (無料・予約不要) オープニングイベント(國學院大學博物館×学術資料センター) 12月16日(土)10:00~12:15、13:30~14:30 【上映会】 ドキュメンタリー映画「久高オデッセイ」第3部 風章(沖縄映像文化研究所) 鎌田東二氏(上智大学特任教授)映画解説(30分)&上映会(95分) 【ミュージアムトーク】 「いのちの交歓-残酷なロマンティスム-」 石井匠(当館学芸員/岡本太郎記念館客員研究員) ■DIMENSION 1 生と性と死について考える (無料・予約不要) 12月23日(土)15:00~16:30 【特別講演】 「食べる/交わる/殺す――現代の表現の地平から」 赤坂憲雄(学習院大学教授・福島県立博物館館長) 【トークセッション】 赤坂憲雄× 石井匠(当館学芸員/岡本太郎記念館客員研究員) ■DIMENSION 2 いのちのつながりを考える (無料・事前申込制) 定員に達したため、申込を締め切りました。ありがとうございました。 1月19日(金)18:30~21:00(受付開始:18:00~) 【上映会】 ドキュメンタリー映画「カレーライスを一から作る」 上映時間:96分 【トークセッション】(上映後) 関野吉晴(探検家・医師)×石井匠(当館学芸員/岡本太郎記念館客員研究員) ■DIMENSION 3 音のいのちを考える (無料・予約不要) 1月21日(日)15:00~16:30 【トークセッション】 「いのちの聲を聴く」 雲龍(笛奏者)× 三上敏視(音楽家/神楽・伝承音楽研究) ■DIMENSION4 いのちとイノチの間を考える (無料・予約不要) 1月27日(土)15:00~16:30 【トークセッション】 「いのちの裂け目―山伏× 芸術× 猟師」 井賀孝(写真家・山伏)× 井上亜美(映像作家・猟師) ■DIMENSION 5 モノのいのちを考える (無料・予約不要) 2月10日(土)15:00~16:30 【トークセッション】 「非生命のいのち―石・木・火・土・鉄・水」 田中望(画家)× 藤原彩人(彫刻家) ■DIMENSION 6 岡本太郎の「いのち」を考える (無料・予約不要) 2月24日(土)15:00~16:00 【ミュージアムトーク】 「《太陽の塔》と《明日の神話》のいのち」 石井匠(当館学芸員/岡本太郎記念館客員研究員) |
出品作家プロフィール | 岡本太郎(おかもと・たろう) 日本を代表する芸術家の一人。1911年生まれ。1929年に渡仏。1930年代のパリで「アブストラクシオン・クレアシオン(抽象・創造)協会」などの前衛芸術運動に参画。パリ大学でマルセル・モースに師事し民族学を専攻。ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。1940年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。1951年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。1960年代後半には日本各地を取材し、数多くの写真と論考を残した。1970年大阪万博のテーマプロデューサーに就任。1996年没。 井賀 孝 (いが・たかし) 写真家。1970年和歌山生まれ。10代の頃はボクシングに没頭し、24歳の時に独学で写真を始める。27歳より1年間ニューヨークに滞在。その地で出合ったブラジリアン柔術を契機にブラジルに幾度となく足を運び、多くの現地格闘家と交わる。その集大成『VALE TUDO』(竹書房)を2017年に刊行。他に富士山写真集『不ニ之山』(亜紀書房)、日本各地の霊山を巡り修験道の世界に身を投じて描いた『山をはしる』(亜紀書房)などがある。 井上亜美 (いのうえ・あみ) 映像作家。1991年、宮城生まれ。2014年、京都造形芸術大学こども芸術学科卒業。2016年、東京藝術大学大学院映像研究科修士課程修了。宮城県丸森で育つ。在学中に狩猟をはじめる。現場でつぎつぎに起こる出来事をエスノグラフィックな視点で見つめ、自身が出演・演出・記録する手法で映像作品を制作している。作品に、都会で暮らす猟師の奇妙な生活を描いた「猟師の生活(2016)」、震災後に猟をやめた祖父を追った「じいちゃんとわたしの共通言語(2016)」などがある。現在、第5期HAPSスタジオ使用者として京都在住。 田中 望 (たなか・のぞみ) 画家。1989年生まれ、宮城県仙台市出身。2014年、東北芸術工科大学芸術文化 洋画研究領域修士課程修了。2017年、東北芸術工科大学芸術工学研究科 芸術工学専攻 博士後期課程修了。2014年、VOCA展2014VOCA賞受賞。民俗学から影響を受け、地域の生業や信仰に関心を持つ。現地での体験や文献調査などから地域の場所性を読み取り、物語的な絵画を制作する。2017年より仙台市内の文化施設に勤め、市民との協働事業や東日本大震災関連の事業に携わる。 藤原彩人 (ふじわら・あやと) 彫刻家。1975年京都府生まれ。栃木県益子町出身。2003年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。2007-2008年文化庁在外派遣研究員として英国ロンドンに滞在(V&A美術館)。 人体/生体を彫刻する上で、器のもつ内と外という二面性を発展させ、人間の内と外、存在と虚無、光と影といった、相反する二つの要素を同時に併せ持った像を陶素材で表現している。 現在、東京造形大学など複数の大学で教鞭をとるほか、国内外の多くの展覧会に参加している。 |